相模原市美術館基本構想の答申について
相模原市美術館基本構想検討委員会から「相模原市美術館基本構想」について、市 長に答申がありましたのでお知らせします。
相模原市美術館基本構想検討委員会は、市民、学識経験者、関係団体の代表者、学 校関係者等の15名の委員により構成されており、平成23年5月から7回にわたっ て協議を進め、検討してきました。
本答申は、美術館の基本理念を「相模原の未来へ向け、まちづくり、ひとづくり、 ものづくりをおこなう文化創造の中心施設」とし、美術館の5つの事業活動とともに、 6つの機能と施設整備の方向性についてまとめています。
また、美術館の建設の実現に向けて、アートラボはしもとでの事業の継続と更なる 拡充とともに、建設予定地の見直し等も提言しています。
1 答申の日時及び出席者
(1) 日 時
平成26年2月6日(木)午後4時から午後4時30分まで
(2) 出席者
相模原市美術館基本構想検討委員会 委員長 稲木
いなぎ
吉一
よしかず
氏(女子美術大学教授) 副委員長 伊藤
いとう
俊
とし
治
はる
氏(東京藝術大学教授)
本市
市長、小池副市長、市民局長、市民局次長
2 答申の概要 別紙のとおり
平成26年2月7日 相模原市発表資料
担当課:文化振興課 電話:042-769-8202(直通)
相模原市美術館基本構想 答申の概要
基本理念(第1章)
相模原の未来へ向け、まちづくり、ひとづくり、ものづくりをおこなう 文化創造の中心施設
美術館の事業活動(第2章)
① つくり、育て、学ぶ美術館活動(市域全体にアートを広げて深める。)
② 自然と都市の共生を目指す美術館活動(自然との共生のビジョンを伝える。)
③ 未来を生きる子どもたちのための美術館活動
(未来のアーティストたる子どもたちを育む。)
④ 伝え、受け継ぐ美術館活動(蓄積された写真等の記憶と記録の場づくり)
⑤ 結びあう美術館活動(周辺の美術大学、商業施設、NPO等との連携) 美術館の諸活動において、時代に即応した、幅広いテーマに取り組めるよう、 企画ごとに学芸員や外部の専門家等で編成されたプロジェクトチームによる事 業展開を図る。
美術館の機能と施設整備(第3章・第4章)
① 収集・保存機能(美術品、写真等の収蔵庫)
② 調査・研究機能(研究室、調査作業室)
③ 展示機能(特別・常設展示室、市民ギャラリー、映像ルーム等)
④ 教育・普及機能(ワークショップルーム、アトリエ工房等)
⑤ 文化創造・発信機能(新しいメディアやデザインの紹介スペース)
⑥ 交流機能(ボランティアルーム、アートカフェ等)
本市にふさわしい機能を備えた美術館を現在の候補地(アートラボはしもとの敷 地)に整備した場合、諸活動の運営に制限が生じることも考えられ、市民が活用す る上での利便性等も考慮に入れた新たな建設地の選定が望まれるとともに、アー トラボはしもとでの事業の継続と更なる拡充が必要となる。
実現に向けて
新たな美術館は、今後本格化される相模原駅周辺のまちづくりの牽引役を担う とともに、新たな相模原市のイメージ形成に大きな役割を果たす。
よって、市は速やかに建設予定地を見直し、美術館の運営につながる文化芸術 事業の推進等に関しても、更に具体的に取り組むことを望む。
相模原市美術館基本構想検討委員会委員名簿
氏 名 所 属 等1 石渡
いしわた
尚
なお
横須賀市自然・人文博物館 2 伊藤
いとう
俊治
としはる
○ 東京藝術大学 3 稲木
いなぎ
吉一
よしかず
◎ 女子美術大学 4 内山
うちやま
淳子
じゅんこ
横浜美術館 5 小山内
おさない
清弦
せいげん
文化協会 6 金子
かねこ
典由
のりよし
公募委員 7 上 條
かみじょう
陽子
ようこ
相模原芸術家協会
8
木原
きはら
裕二
ゆうじ
(前任) 高橋
たかはし
洋一
よういち
市立谷口台小学校 市立宮上小学校 9 小林
こばやし
正子
まさこ
市立大野台中学校 10 鈴木
すずき
正彦
まさひこ
光と緑の美術館 11 吹田
ふきた
千明
ちあき
藤野ぐるっと陶器市・篠原の里 12 母袋
もたい
俊也
としや
東京造形大学 13 森脇
もりわき
裕之
ひろゆき
多摩美術大学 14 山本
やまもと
満
みたす
㈱さがみはら産業創造センター 15 吉村
よしむら
涼子
りょうこ
公募委員 ◎委員長 ○副委員長
相模原市美術館基本構想(答申)
平成26年2月
相模原市美術館基本構想検討委員会
− 目 次 −
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第1章 美術館の理念と性格 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
第2章 美術館の事業活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
第3章 美術館の機能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
第4章 美術館の施設整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
実現に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
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昭和29年の市制施行から60年近くが過ぎ、今や人口70万を超える大都市と なった相模原市は、神奈川県の北西部に位置し、北部は東京都、西部は山梨県と接 し、県下では横浜市、川崎市に次ぐ人口規模を持つ、戦後市制施行された日本の市 では最も人口の多い都市として急成長を遂げてきた。
そうした人口集中地帯ながら相模川を中心に丹沢山地や小仏山地など広域にわた り水系、山系が広がる緑豊かな地域であり、市がうたう“ 潤水都市” として自然と 都市が交歓する親密な環境が形作られてきた。また美術館予定地近隣は大学や教育 機関、企業や商業地域が集中する文教地域としても知られ、特に日本で最も美術大 学が密集し、アーティストたちが集い、世界的なフォトフェスティバルが開かれる アートゾーンとしても近年大きく注目されている。
平成11年には隣接する東京都町田市と業務核都市を形成、21世紀に入り、相 模原市は津久井町、相模湖町、城山町、藤野町と合併、平成22年には政令指定都 市となるなど首都圏南西部における広域的な交流拠点都市としてますます期待を集 めている。しかし広がり発展する市全体の一体化や活性化に求心的な役割を果たす べき美術館はこれまで存在せず、地域のアイデンティティや文化の核をなすセンタ ー機能の設置が早くから市民に切望されていた。
街と人と夢を育み、質の高い文化創造を目指すには、新しい形で芸術を市民の生 活や環境に浸透させていく拠点づくりが不可欠であり、また周辺に多く集まる小中 学校、高校、大学、企業、商業施設、研究機関、NPOなどとの連携ターミナルと しても美術館の設立は強く望まれている。このような状況下に県北初の公立美術館 ができる意義は大きく、変容する相模原市の未来に向けた文化の中心となるべく美 術館建設が早急に必要とされていると言えるだろう。
はじめに
-2-
① 基本理念
相模原の未来へ向け、まちづくり、ひとづくり、ものづくりをおこなう文化創造の 中心施設
(設立目的)
広く市民と時代に対して場を開き、自然と都市が共生する豊かな社会環境を目指 し、地域の活性化に寄与するとともに、市の顔(シンボル)として文化的なアイデ ンティティを支え、現在進行形のアートや土地に根ざしたアートを発信し、相模原 の夢ある未来の基盤をつくりあげる。
② 美術館の性格
〔A〕<つくり、育て、学ぶ美術館>
まちづくり、ひとづくり、ものづくりの拠点として生活密着型のタウン・ミュー ジアムの性格を持つ。
〔B〕<自然と都市の共生を目指す美術館>
都市のなかにいながら、自然・生命・宇宙と交流できる自然/都市共生型のネイ チャー・ミュージアムの性格を持つ。
〔C〕<未来を生きる子どもたちのための美術館>
現在進行形の、生きた未来のアートを積極的に発信し、小中学校などとも強い連 携を結びながら、子どもたちの新しい想像力を育てるフューチャー・ミュージアム の性格を持つ。
〔D〕<伝え、受け継ぐ美術館>
相模原の土地の記憶ばかりではなく、昭和の記憶や時代の記録を積極的にくみあ げ、過去の記憶や記録を未来へ向けて生かしていくドキュメント・ミュージアムの 性格を持つ。
〔E〕<結びあう美術館>
学校等の教育・研究機関、企業や商業施設、研究機関、NPOなど、様々な組織 と連携し、社会の交流や共生のためのプロジェクトを立案・実行するプロジェクト・ ミュージアムの性格を持つ。
第1章 美術館の理念と性格
-3-
③ 美術館のビジョン図(考え方)
〔A 〕 つくり、育て、
学ぶ美術館
タウン・ミュージアム
〔C 〕 未来を生きる
子どもたちのための美術館
フューチャー・ミュージアム
〔D 〕
伝え、受け継ぐ美術館
ドキュメント・ミュージアム
基本理念
まちづくり、ひとづくり ものづくりをおこなう
文化創造の中心施設
〔E 〕
結びあう美術館
プロジェクト・ミュージアム
〔B 〕 自然と都市の 共生を目指す美術館
ネイチャー・ミュージアム
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① 美術館の対象領域
近現代の美術をはじめ、コンテンポラリーアート、写真、映像、デザイン、建築、 メディアアートなど幅広い分野を対象とし、様々なアートの広がりを「現在」という 視点でとらえていく。
② 美術館の利用対象者
子どもから高齢者まで、すべての世代が感動し、楽しめる美術館を目指し、市民 参加を積極的に促し、市民とともに創造するミュージアムを具現化する。
③ 美術館の重点対象
国内外のみならず、相模原ゆかりの作品や周辺地域で特色ある作家を紹介し、研究 の対象とする。
④ 美術館の特色ある活動
アートに関連した創造活動の拠点となる広義の美術館、地域や市民の生活に密着 した美術館、館の内外で様々な事業展開を行う活動する美術館として、以下の5つ の特色を持つ。
〔A〕<つくり、育て、学ぶ美術館活動>
まちづくり、ひとづくり、ものづくりの拠点として、市民のアートへの理解と関 心を深めるため、学校や商業地域、公園や野外において、展覧会やワークショップ 等による場づくりや、場のリフォームを積極的に展開できるよう、アートバス(移 動巡回美術館)を活用するなどして、市全域を美術館化する事業を実践する。
また、アーティストインレジデンス
*
などによる若手作家の育成事業も行う。
(出前美術館、フォトタイルストリート、野外アートイベント、コンサート、フィ ルム上映会など)
*アーティストインレジデンス:国内外の芸術家をひとつの地域に一定期間滞在させて、創作 活動をさせる制度や事業。
第2章 美術館の事業活動
-5-
〔B〕<自然と都市の共生を目指す美術館活動>
潤水都市宣言をした相模原市は首都圏では稀有な自然とともに生きる都市であり、 日本の宇宙開発拠点である宇宙航空研究開発機構(JAXA)や自然を核とした藤 野芸術の家など関連施設も多く、そのような市の特性を生かし、21世紀に必要と される自然との共生のビジョンを伝える場を実現していく。
〔C〕<未来を生きる子どもたちのための美術館活動>
21世紀のアートは、絵画、彫刻のみならず写真、映像、デザイン、建築、アニ メーションやメディアアートなど広範なジャンルを包括し、ダイナミックに展開し ている。そうした多様化するアートの動向を踏まえ、科学と芸術の融合といったア ートの持つ新たな可能性やコミュニケーション力など、アートの力を未来を生きる 子どもたちに提示し、未来のアーティストたる子どもたちを育むための活動を積極 的に実践する。
〔D〕<伝え、受け継ぐ美術館活動>
急速に人口が増加し、ベッドタウン化した都市にとって大切なのは過去の記憶や 記録を現在に生かしていく場づくりである。相模原市はこれまで13回にわたり市 民参加型の写真祭「フォトシティさがみはら」を開催し、世界的な写真コレクショ ンも保存してきた。また周辺には国立近代美術館フィルムセンター相模原分館や光 学機器メーカーの工場、写真や映像を専門的に学ぶ大学など、多くの写真映像資源 を有する環境がある。大切なものを伝えていく伝承の仕組みがますます重視される 今日、蓄積された貴重な写真映像コレクションをベースに、新たな記憶と記録の場 づくりを行う。
〔E〕<結びあう美術館活動>
市内の小学校から周辺の美術大学等の教育機関はもとより、各種の研究機関、企 業や商業施設、病院や福祉施設、NPOなど様々な組織と連携し、子どもから高齢 者、障害者などにも配慮した、社会交流、共生社会の形成に向けたアートプロジェ クトを積極的に展開する。
(相模原ブランド開発、シャッター商店街の再生、企業サポートシステム、インク ルーシブアート
*
)
*インクルーシブアート:障害の有無や、年齢、性別、職業(プロ・アマチュア)、資格、学歴、 経験などにかかわらず、全ての人々を対象にして行うアート活動とその支援。
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⑤ 美術館の活動の指針
美術館の諸活動において、常設企画展や継続的な産学官の共同事業、アーカイブ の公開、写真フェスティバル等の恒常的な事業以外は、企画ごとに学芸員、外部の アーティスト、デザイナー、ゲストキュレーター、プランナー、サイエンティスト、 市民ボランティア、学生アシスタントなどから編成されたプロジェクトチームによ る事業展開を図る、プロジェクト・ベースの運営方法を採用し、時代に即応した新 たなテーマ、幅広いテーマに取り組めるよう努めることとする。
なお、プロジェクトの運営にあたっては、市が別途に設けるアドバイザリー・ボー ド
*
によるプロジェクト事業の評価と承認のもと、責任者(プロジェクトディレクタ ー)を立てて事業遂行の任に当てることとし、市は事業全体の運営責任を負うととも に、事業実現に向けた支援体制の確立に努めるものとする。
*キュレーター:美術館などで企画・運営を担う専門職。
*アドバイザリー・ボード:事業や運営に対する助言や評価を行う外部組織。ただし、プロジ ェクト・ベースにおいては、単なる第三者機関ではなく、事業実施の協力者としての側面を 持つ。
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美術館は、上記の理念や活動を実現するため、以下の機能を有する。
〔A〕収集・保存機能
すでにある相模原関連の作品や膨大な写真のコレクションを活かしながら、相模 原美術の核を形成する意味でも長期的な展望のもとに収集保存を行っていく。今後 も相模原ゆかりの作家については、若手も含め、近現代の作品や資料を広く体系的 に収集するとともに、特色ある美術館を表明していくためにも、これまで高い評価 を得ている写真コレクションなどの充実を図る。
〔B〕調査・研究機能
美術館の要となる機能として捉え、十分な人材と設備のもとに、内外の優れたア ーティストや作品、芸術動向や地域文化活動について、正確な調査研究を行い、そ の成果を展覧会やイベント、ワークショップ等の美術館活動として広く市民に還元 し、市の芸術文化の振興に努める。
また、各種のプロジェクト・ベース型の事業自体も調査研究の対象とし、それら の成果をアーカイブやドキュメントとして展開させていく。
〔C〕展示機能
常設展示のみならず、様々な展覧会やイベント、映像上映やパフォーマンスなど 多様な目的に対応できるスペースと設備を有し、搬入・展示・撤去作業がスムーズ に行えるバックヤードやマネージメントスペース等の充実を図りながら、効果的な 展示空間を演出し、感動や元気を与える場づくりを目指す。
〔D〕教育・普及機能
小中高等学校や大学などとの連携により、児童や学生の教育の場としての機能を 有するとともに、社会人や高齢者など、幅広い層に対応できる鑑賞教育、ワークシ ョップ、フロアレクチャー
*
などの学びの場を用意し、生涯学習の場としての機能 充実を図る。
そうした機能を十分かつ効果的に果たすために、積極的なアウトリーチ活動を行 い、将来の相模原文化を担う人材を育成していく。
*フロアレクチャー:展示室内で作品を見ながら行う展示解説。 第3章 美術館の機能
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〔E〕文化創造・発信機能
地元の企業や大学の振興とも連動した、新しいメディアやデザインの動向を積極 的に紹介する活動等を通して、産・学・官との連携を軸とした相模原ならではの文 化創造の発信ベースとしての機能を果たす。
〔F〕交流機能
ボランティアルームやアートカフェなど、市民が芸術活動に積極的に参加し、そ こで新たな出会いや交流が生まれる活気のある場を設けるとともに、あわせて無料 ゾーン(無料鑑賞日)や親子で楽しめるアートプレイングルームなど、市民が生活 感覚で気軽に利用し、親しみと安らぎを感じられる場を提供する。
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前章までに述べてきた美術館の理念と性格を実現する上で、ここでは機能に即した 必要な施設をゾーニングの観点から例示する。
〔A〕収集・保存機能スペース
収蔵庫(美術品、写真・映像コレクション、美術資料などの収蔵)
〔B〕調査・研究機能スペース 研究室、調査作業室
〔C〕展示・機能スペース
特別展示室、常設展示室(写真、収蔵品)、
市民ギャラリー(従来の市民ギャラリー機能を発展継承)、 映像ルーム・パフォーマンスシアター
(映像展示、フィルムフェスティバル等の開催、身体表現発表)
〔D〕教育・普及機能スペース
アートバス(移動巡回美術館)、ワークショップルーム、 レジデンス・スタジオ、アトリエ工房、ライブラリー、講堂
〔E〕文化創造・発信機能スペース メディアデザインギャラリー
(地元の企業や大学の振興とも連動した、新しいメディアやデザインの動向 を積極的に紹介する)
〔F〕交流機能スペース
ボランティアルーム、アートカフェ、
無料ゾーン(無料鑑賞日)、アートプレイングルーム
以上のような、本市にふさわしい機能を備えた美術館を、「アートラボはしもと」の敷 地に整備するためには、少なくとも中層程度の多層階施設が必要となる。しかしながら、 これに必要十分なバックヤードや駐車スペース等を含めると、現在の候補地では諸活動 の運営に制限が生じることも懸念され、市民が活用する上での利便性なども考慮に入れ た新たな建設地の選定が望まれる。
なお、上記に挙げた美術館の機能の一部は、「アートラボはしもと」の事業活動におい て展開されており、美術館建設の実現に向けて、大学、学校、企業、商店街などとの一 層の協力関係を構築していく上でも、「アートラボはしもと」での事業の継続と更なる拡 充が必要となる。
第4章 美術館の施設整備
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平成23年5月、総勢15人で構成された相模原市美術館基本構想検討委員会は、 現「アートラボはしもと」の所在地を建設予定地として、相模原市が整備するにふ さわしい美術館像を目指して検討を開始した。
検討にあたっては、同年3月11日の東日本大震災を経て、まさに社会と芸術と の関係が改めて問い直されつつある中で、各委員は各自新たな視点から21世紀に 求められる新しい美術館の在り方を模索検討し、協議を重ねてきた。
本答申では、理念に掲げた「相模原の未来へ向け、まちづくり、ひとづくり、も のづくりをおこなう文化創造の中心施設」に示すように、「つくる」=「創造」をキ ーワードとして、相模原の将来に向けて「まち」=「社会」、「人」=「市民」、「も の」=「文化」を創造する未来志向の美術館を目指している。今なお現代社会は国 際的にも経済問題や紛争による不安定な状況にあり、加えて我が国では原子力災害 という新たな課題を抱えることとなった。委員会は、相模原の「創る美術館」とし ての在り方が、そうした不透明な社会に対して市民に活力や精神的充足をもたらし、 より良いコミュニティの構築に寄与することを望むものである。
現在、相模原市では、首都圏南西部の広域交流拠点都市のまちづくりが多角的に 進められており、既に一部返還が決定している相模原駅北側の相模総合補給廠用地 は、今後の相模原駅周辺のまちづくりにおいて、大きな意味を持つものと言えよう。 検討委員会で協議を重ねてきた相模原にふさわしい機能と規模を備えた新しい美術 館についても、今後本格化される相模原駅周辺におけるまちづくり計画との整合を 図りつつ建設することにより、当該地区のまちづくりの牽引役を担うとともに、新 たな相模原市のイメージ形成に大きな役割を果たす存在となることが考えられる。 よって本答申後、市は速やかに美術館建設の実現に向け建設地予定地を見直し、美 術館の運営につながる文化芸術事業の推進などに関しても、更に具体的に取り組む ことを、委員一同切望する次第である
実現に向けて